メーリングリストは便利なものですが、 作成や運用には手間がかかるのが普通です。 通常、電子メールの配送は、 プロバイダや会社, 学校などの組織にある メッセージ転送エージェント(MTA) と呼ばれるシステムが面倒をみています。 普通のユーザがメールの読み書きに使う Outlook, Eudra, Beckyのようなおなじみのシステムは メッセージユーザエージェント(MUA)と呼ばれ、 メッセージの配送処理は行なっていません。 メールを複数のメンバに配送するという メーリングリストのような処理は MTAで実行する必要があり、 MUAでメーリングリスト機能を実現することはできません。
多くの企業や学校では、MTAとしてUnix上の sendmailやqmailなどのシステムがよく使われており、 これらと連動してメーリングリストを実現するシステムとして Majordomoやfmlといった メーリングリスト管理システムが広く使われています (*1)。 MTAは重要なシステムなので 通常はシステム管理者が管理しており、 一版ユーザが設定を変更することはできません。 このため、 Majordomoやfmlを利用して メーリングリストを立ち上げるためには システム管理者に設定を依頼する必要がありますが、 これはメーリングリスト作成者にもシステム管理者に とっても負担になります。 混乱を避けるために メーリングリストの作成を許可しない組織や プロバイダも少なくありません。
MTA関連の設定を行なって メーリングリストを作るのは手間がかかるので、 誰でも簡単にメーリングリストを作れるような Web上のサービスが近年沢山出現しています。 たとえばFreeML(*2)では、 メーリングリスト名とメンバをWebで登録することにより 簡単にメーリングリストを作成することができます。 また、eGroups(*3)のように グループウェアのサービスの一環として メーリングリスト作成をサポートしているものもあります。 これらのシステムでは、 ブラウザ上でメーリングリスト名と 参加メンバを指定するだけで簡単にメーリングリストを 作って運営することができるようになっており、 メール配送の原理やMTAシステムに関する知識のない普通のユーザでも 簡単にメーリングリストを作って運営することができるので、 最近広く使われるようになってきました。
このように、メーリングリストというものは、 覚悟を持って運営し、気合いを入れて参加するものだと 考えられてきました。 はっきりした目的があって長続きする大人数のグループであれば、 いろいろ細かい設定を行なってメーリングリストを作る意義がありますが、 打合せの連絡や遊びの相談のような一時的な用途の場合、 グループでメールをやりとりする場合であっても、 わざわざメーリングリストを作って運用されることは ほとんどありませんでした。 しかし、 本当に手軽にメーリングリストを作って運用することができるのであれば、 一時的な用途であってもメーリングリストを作る意味はあるはずです。
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Subject: 今日の宴会 To: enkai@quickml.com From: masui@csl.sony.co.jp Reply-To: enkai@gotanda.quickml.com 今日の五反田の宴会に参加する人は このメールに返事して下さい。 |
このように、QuickMLでは 「(好きな名前)@quickml.com」に メールを送るだけで MLを作って運用することができますから、 これまでのシステムに比べるとはるかに簡単にMLを 運用することができます。 携帯電話からでも手軽に 上の例のようなMLを作ったり使ったりできるので、 ちょっとした打合せや宴会などの連絡に使うのに最適です。 放っておけば自動的に消滅しますから、 管理について気にする必要もありません。
私はQuickMLを利用するようになってからメールの使い方が 変わってきました。 以前は、ある話題について話をするときは 適当なサブジェクトを選ぶようにしていましたが、 最近は話題ごとに異なるMLを作って使うようになりました。 また、携帯電話からでも簡単にMLを作れるので、 宴会や待ち合わせなどの連絡をするのにも 毎回MLを使うようになりました。 QuickMLにより、 これまでちょっと敷居が高かったMLが コミュニケーションや協調作業の手段として もっと広く使われるようになってほしいと考えています。