10年ほど前は、まだ日本ではユーザインタフェース関連のシステムに ついての研究発表の機会が少なかったので、 似た分野の研究者を集めてこのようなワークショップを始めたのですが、 ユーザインタフェース研究テーマの人気は変遷しつつも ワークショップは毎年盛況に開催されています。
WISS'93-'94のセッションタイトル | WISS2001-2002のセッションタイトル |
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視覚化, UI設計, ツールキット, 例示と予測, ビジュアルプログラミング, CSCW, 次世代インタラクティブシステム, マルチモーダル, マルチメディア, アルゴリズムアニメーション | 例示と予測, 実世界指向, 3次元, 音声, 入力デバイス, 視線, 五感, 検索, インターネット |
例示/予測インタフェースのように長年にわたって 綿々と研究が行なわれている分野もありますが、 ウィンドウシステムやツールキットのような GUI関連の研究は10年の間に影をひそめてしまったようです。 それに変わって、 新しい入出力装置や 実世界指向インタフェースの研究が最近は盛んになっています。
WISSワークショップが始まった10年前には まだWindows95も発売されておらず、 ツールキットやプログラミング環境は現在に比べると貧弱だったため、 開発システムやウィンドウシステムに関する研究が盛んでした。 また、高度なグラフィカルインタフェースの研究には Unixワークステーションを使うのが普通であり、 現在のように誰もがどこでも計算機を使うという状況とはほど遠かったため、 携帯計算機に関する研究は少なく、 デスクトップワークステーションを使った研究が多かったようです。 一方、この10年の間に Javaや高度なプログラミング環境が簡単に入手できるようになったためか 開発環境に関する要求は少なくなり、 モバイル計算機やユビキタス環境に適応した入出力装置に対する 要求が高まってきたといえそうです。
WISS2002の発表の様子。両側にチャット画面が出ている。
発表の内容がよくわからないときや質問があるときに、 聴衆は手元の計算機を使ってチャット画面上に質問や意見を投稿します。 このような質問に対し、論文の共著者がチャット画面上で質問に答える こともありますし、 また別の参加者が別の意見を投稿することもあります。 進行中の口頭発表とは直接関係のない話がチャット上で盛り上がることも よくあります。 学会でこのようなチャットシステムを使いはじめたのは恐らく WISSが最初だと思いますが、 活発な議論を行なうのに非常に便利です。 チャットが盛り上がりすぎると参加者が口頭発表に注目しなくなって しまうという問題もあるようですが、 発表中にリアルタイムに関連する話題について議論ができるという 魅力は非常に大きなものがあるので、毎年チャットの参加率は増える一方で、 聴衆の半分以上がチャットに参加しつつ口頭発表を聞いています。
チャット画面の拡大。
チャットシステムの場合、 重要な情報であっても 古い発言はどんどん流れていってしまうという問題があります。 今年のWISSでは、 チャット画面に加え、2002年1月号で紹介したWiki Wiki Webシステムも 併用するようにしてみました。 Wiki Wiki Webでは チャットのような即時性はあまり感じられませんが、 後まで残したいような重要な情報を残すのに使ったり、 アンケートに使ったりすることができるので チャットとの併用は意義があったようです。 会場で使用したWiki Wiki Webは現在も運用したままに なっています[*1]。 誰でも情報を追加したり編集したりできますので、 ぜひ覗いてみて下さい。
WISS Wiki
QuickML:手軽なグループコミュニケーションツール |
Tactile Driver: 触感を忠実に再現するタッチパネルシステム |
視覚情報の属性を考慮した自動例示検索 |
Pop.eye: パーソナルユーザ向けの「飛び出す」動画取得システム |
Digital Decor:日用品コンピューティング |
これら以外に、以下のような論文も参加者の人気が高かったようです。
Web Community Browser: 大規模Webグラフ探索ツールとそのインタラクション技術 |
文書蓄積システムKukuraを用いた予測入力 |
ThumbSense: タッチパッド用対話技法の提案 |
空間的キーフレーム法によるキャラクターアニメーション |