RFIDタグは 従来は流通分野など限られた領域でだけ使われていましたが、 最近では JR東日本で導入された「Suicaカード」や、 電子マネーとして使える「Edyカード」のように、 一般ユーザ向けの製品も増えてきています。 Suicaの場合、 自動改札のRFIDリーダ/ライタをタッチすると カード内のメモリ内容が書き換えられるようになっています。
RFIDタグは以下のような特徴を持っています。
流通分野では現在バーコードが広く使われていますが、 そのようなバーコードはすべてRFIDで置き換えることが可能です。 RFIDの場合、正確にスキャンすることなく リーダの近くを通過させるだけでよいので 効率的な作業が可能になります。
あらゆる蔵書にRFIDタグをつけることにより、 貸出/返却処理や書棚の管理が飛躍的に楽になります。 本を借りたい人は 貸出机の上に本を置くだけで本を借りることができ、 1冊ずつ確認しながらバーコードをスキャンしたりする必要がなくなります。 貸出処理を行なわずに図書館を出た場合は 出口のリーダでチェックすることができます。 このようなシステムは 実際に宮崎県北方町などのの図書館で運用されています[*3]。
いろいろな種類の電子マネーが提案されていますが、 ソニーのFeliCaというRFID技術を利用した EdyカードやSuica定期券などは、 カード本体に金をチャージしたりそれを使ったりすることができるので 財布にイメージが近くわかりやすいかもしれません。
診療カードや電子カルテをICカード化したり、 ICカードを保険証として使用するといった試みが行なわれています。
カードに識別情報や認証計算機構を内蔵させることにより 各種の認証に使用することができます。
来たるべきRFID時代のために、 MITとプロクター・アンド・ギャンブルなどが中心となって 1999年に「AutoIDセンタ」[*4]という非営利研究機関が設立され、 RFIDのハード/ソフト/サービスの標準化を行なおうとしています。 AutoIDセンタでは、バーコードで使われるUPCのかわりに EPC(Electronic Product Code)というものを利用するための ハード/ソフト/サービス技術を研究しています。 今年になって、慶應大学の村井純教授をヘッドとする 日本支部[*5]が慶應湘南藤沢キャンパスに開設されています。
一方、AutoIDセンタは米国の流通界の主導のものであり、 参加していない有力なRFIDメーカがあるなど、 必ずしもRFID業界の足並が揃っているわけではないようです。 また、日本の事情にあわない点もみうけられるなど、 問題点も指摘されています[*6]。
たとえば、 書類を机の上に置くことにより関連したWebページが表示されるシステムや、 ユーザの居場所によって 実世界指向インタフェースシステムが考案されています。 これからのモバイル/ユビキタス時代は、 キーボードやマウスのような従来型のデバイスを使う場合よりも これまで使われてこなかった一般的なものを使って 計算機にアクセスすることの方が多くなると考えられますから、 実世界指向インタフェースという名前は使われることがなくなり、 そのようなインタフェース手法があたりまえになるでしょう。
いろいろなセンサを使うことにより 実世界指向インタフェースを実現することができますが、 バーコードやRFIDタグを使うだけでも 多くの実世界指向インタフェースシステムを実現できます。
RFIDを使うと 以下のような特徴をもつ実世界指向インタフェースシステムを 簡単に構築することができます。
RFIDを使った実世界指向インタフェースシステムについては 玉川大学の椎尾一郎教授の解説[*7]がありますが、 ここではよくできたシステムの例をいくつか紹介します。
ものの広場
PlayStand
NaviGetaは、 下駄の裏側にRFIDリーダを取り付けておくことにより、 RFIDをしきつめた床の上で自分の位置を取得することができるシステムです。 屋内で自分の位置を取得する技術はいろいろ考案されていますが、 入手が簡単な装置ですぐに実現できるところが特徴になっています。
NaviGeta
椎尾研究室ではこの他、 実世界に貼ったバーコードを 計算機画面上のアイコンと全く同じように扱うことができる 「IconSticker」[*12]や、 バーコードをGUI部品として使える 「FieldMouse」[*13]などの作品もあります。
IconSticker
DataTiles
ePro