何かについての情報が欲しいとき、 それを解説しているWebページを捜すために Googleを利用するのが最も一般的な使い方だと思いますが、 Googleはページ内のあらゆる単語を検索可能にしていますから、 このような本来の用途とは若干異なる使い方をすることができます。
dissipate:のような説明が書いてありましたが、 これだけだと誰が何に怒っているのかさっぱりわかりませんから、 現実感がなく空虚な響きがしてしまいます。 これでは、 せっかく例文があってもあまり記憶の役にはたちそうにありません。
〈雲・霧などが〉消散する,消失する;分解する:
Her anger was dissipating. 彼女の怒りは鎮まっていった.
辞書に用意された例文を利用しなくても、 インターネットには実際に使われている文章が山のようにあるわけですから、 自分に関係あるサイトや好きなテーマに関するページの中の文章から例文を捜すようにすれば、 辞書の中の文章よりもはるかに現実味がありますし、 内容に興味をもてますから単語を覚えやすいと考えられます。 例文自体が有用な内容を含むものであれば、 文章の中身と単語の使い方を同時に覚えることができますから一挙両得です。
自前の単語帳を使って外国語を覚えるというのは 最近はあまり流行っていないようですが、 調べた単語が使われているWebページの文章を例文として 自分だけの単語帳を作ったり、 HTMLで単語帳を作って例文ページへのリンクを持つようにしたりすれば、 単純に単語を並べた従来型の単語帳よりも はるかに生き生きした単語帳を作ることができるでしょう。
下図の単語帳では、 覚えようとしている各単語について、 その意味だけでなく、 どこのページでどのような使い方をされているかがわかるようになっています。 ここでは、 Intervalという会社の壮大な夢が雲散霧消してしまったということを表現するのに dissipate という単語が使われていることが書かれているので、 感慨を持って単語の使い方を味わうことができます。
単語帳の例
従来型の辞書は、長年かかって作られているものですから、 現実に使われている用法とはずれた説明がされている可能性もあります。 インターネット文章を検索するようにすれば、 ある単語が実際にはどのように使われるのかがよくわかりますし、 用法が本当に正しいのかを肌で確かめることができます。
高林哲氏は、 Googleの検索結果を解析することにより 物事の流行を視覚化する googleplotというシステム[*1]を作って公開しています。 下の図は、googleplotを使ってgoogleplotの人気の変化を解析した結果のグラフです。 5月に公開した後、順調に人気が出てきているらしいことがわかります。
googleplotによる
googleplotの人気の変化の視覚化
GoogleはGoogle APIというライブラリを提供しており、 各種のGoogleの機能をプログラムから呼び出すことができるようになっているので、 googleplotはGoogle APIを利用してマッチ数を取得し、グラフ化を行なっています。 Googleで検索を行なうと、 検索にヒットした件数が「約xxx件中1 - 10件目」のような型式で画面に表示されますから、 検索結果の表示画面からこのような文字列を捜してヒット件数を知ることもできますが、 Google APIを使うともっと自然な形でプログラムを記述することができます。
あるページにアクセスしようとするとき、 多くの場合、 URLを入力するよりも検索キーワードを使う方が短くてすむようです。 うまく検索にヒットしない場合でも、 検索キーワードをうまく足せばみつかるようになるでしょう。 名刺などにURLを記述するかわりに、 Googleの検索キーワードを書いておく方が実は便利かもしれません。
全文検索システムは非常に便利なものですが、 「文中に出現しない単語は検索できない」 という大きな欠点も持っています。 私は「情報視覚化」に関するページをいくつか作っているので、 「視覚化」で検索を行なうと私のページがいくつかヒットするのですが、 「可視化」という言葉は全く使っていないため、 「情報可視化」などで検索すると私のページを簡単にみつけることができません。 「視覚化」「可視化」の両方を文中で使えばよいかもしれませんが、 異なる言葉を混ぜて使うことは好ましくないでしょう。 しかし、 索引ページを整備して「情報可視化」から「情報視覚化」のページにリンクしておけば、 「情報可視化」でも「情報視覚化」でも私のページを検索することが できるようになる可能性があります。
どうすれば自分のページが検索にヒットしやすくなるか 頭を悩ませている人も多いと思いますが、 索引を強化してヒット率を上げようとしている人はあまり多くないようです。 整備された索引があればユーザの立場からも便利ですし、 ヒット率が上がるならばWebページ作成者の立場からもありがたいことでしょう。 使用するキーワードによって検索が成功したりしなかったりするページはあまり賢いとはいえないと思います。 固有名詞だけでなく、 いろいろな一般名詞の組み合わせでヒットするように 検索ページを整備することをよく考えるとよいでしょう。
全文検索システムはすでに完全に生活の一部になっており、 これがない世界はもはや考えることもできません。 検索システムと共生するための様々な工夫がこれからもっと増えてくることでしょう。