94年度の研究
概要
最近、WWW などハイパーテキスト、ハイパーメディア構造による
情報の提供が一般化しつつある。
それにともなって、ハイパーメディア情報を効率良く検索する
インタフェースに対する要求も高まっている。
しかし、従来のインタフェースは、個人に対するものが中心であり、
複数の人間から構成されるグループの人達が、
協力・協調しあって情報を検索するという視点に乏しかった。
また、従来からグループの共有情報をハイパーテキストによって
保存するという考え方はあったが、
その主眼はグループにローカルな共有情報の管理であり、
グループの外の広大なデータベースサービスにアクセスする
といった方向性のものではなかった。
我々は、将来のネットワーク社会において、
ますます、分散管理された情報に対する協力・協調したアクセスが必要になると考え、
そのための新しい協調検索モデルを提案し、試作的なシステムを実装した。
このシステムは、大きく分けて2つの部分からなっている。
WWW サーバの改造(CERN httpd および CGI スクリプト)と、
グループに関する情報を表示するためのクライアント(GroupViewer)である。
この2つのプログラムと Mosaic のような WWW ブラウザを組み合わせて、
1つの協調検索システムを構成する。
ここで、WWW を用いたのは、それが複数のユーザの同時使用を前提とした、
分散指向のハイパーメディア・システムであり、
ソースコードやプロトコルが公開されているからである。
詳細と実装
本システムは、以下のような特徴的な機能を備えている。
- グループの仲間同士で、どんな情報が欲しいのか、互いに教えあうことができる。
- まず、個々のユーザはハイパーメディア空間の検索をするとき、
グループの仲間に対して、「自分はどんな種類の情報が欲しいのか」を
短文の形で教えあう。
お互いの目的を把握することは、協力・協調には欠かせないことである。
- グループの仲間が、どこの情報(ドキュメント)にアクセスしているのか、
一覧することができる
- グループの仲間が「どこの情報にアクセスしているのか」、
「どこの情報にアクセスしてきたのか」を
リアルタイムに把握することができれば、検索の分担が容易になる。
つまり、仲間が既に検索している情報を、
もう1度検索する手間を省けるわけである。
これを実現するために、ハイパーメディアのリンクをグラフ構造としてあらわした
「地図」を作成している用いる。
- グループの仲間に、有用な情報(ドキュメント)の存在を
教えてあげることができる
- この機能がもっとも重要である。
自分の検索してきた情報が、
グループの仲間にとっては重要であるのかどうか、互いに教えあうことができる。
自分にとっては重要でない情報でも
ほかの仲間にとっては重要な情報である場合、
それを教えてあげることが、グループ全体の利益につながるからである。
最後に
実際には、まだまだ
問題点は多いが、今後ますます巨大化するハイパーメディア空間に、
複数の人間が協調しながらアクセスする、という考えは非常に重要であると考える。
今後、問題点を解決してより有用なシステムを完成させていきたい。