- 著者
- Brad A. Myers
- タイトル
- User-Interface Tools: Introduction and Survey
- ページ
- 15-23
- 日時
- January 1989
- 概要
- ユーザインタフェース用各種ツールのサーベイ.....
●ユーザインタフェースツールの利点
○良いインタフェースを作りやすい
・ラピッドプロトライピング可能なので良いインタフェースが設計できる
・変更をやりやすい
・ひとつのアプリケーションで複数のインタフェースを持てる
・インタフェースを何度も使えるので力を入れて開発できる
・異なるアプリケーションで共通なインタフェースを作れる
・新しいインタフェースを開発しやすい
・インタフェースの専門家を養成しやすい
○保守しやすい
・インタフェースコードは分離して構造化されているので保守しやすい
・コードの共有が容易である
・高レベルの記述によりインタフェースが作られるので信頼性が高い
・インタフェースの表現、検証、評価が容易である
・装置依存の部分が分離されているので移植しやすい
●ツールの分類
○ユーザインタフェースツール
L_____○ToolKit
| ライブラリとしてアプリケーションに付属させるもの
| 完全にアプリケーションと同時に開発する。
| dialog(操作のシーケンス)などはサポートしない。
| 手続きの集合であり、最近はオブジェクト指向言語が使われる
| ことが多い。
| <欠点>
| インタフェースが用意されているものに制限される
| 関数が山のようにあるのでどれを使うのかわからない
L_____○UIDS(User Interface Design System)
| UIMSと従来呼んでいたもので、アプリケーションとなるべく独立に
| dialogを記述する。
| 以下のような様々の処理をサポートする。
| ・ユーザ入力処理
| ・エラー処理
| ・UNDO処理
| ・入力のフィードバック処理
| ・ヘルプやプロンプト処理
| ・表示更新処理
| ・ユーザによるデータ変更のアプリケーションへの通知
| ・アプリケーションと表示処理の分離
| ・インタフェースの評価
| ・インタフェースのカスタマイズ
| UIDSには例えば以下のものが含まれる。
| ・ツールキット
| ・dialog制御
| ・インタフェースとアプリケーションの橋渡しをする枠組み
| ・表示配置制御
| ・評価機構
|
L__○言語ベースのもの
| L__○メニューネットワークによるもの
| | <例> Tiger, Hypercard
| L__○状態遷移ネットワークによるもの
| | <例> Jacob's State-Diagram Interpreter, Rapid/USE
| | <欠点>
| | 大域変数の嵐になる
| | モードが生じるためモードレスインタフェースに向かない
| | 複数入力に向かない
| | 遷移が複雑になると扱いきれない
| L__○文脈自由文法によるもの
| | パーザの記述のようにインタフェースを記述する。
| | <例> Syngraph
| L__○イベント言語によるもの
| | 入力がイベントとして直接ハンドラに渡される
| | <例> Algae, Sassafras, Squeak
| | <欠点>
| | コードが局所化されないのでバグを生じやすい
| | コードを理解することが困難
| L__○宣言型言語によるもの
| | 何がおこるかを記述する。
| | フォームで使うものが多い
| | <例> Cousin, Domain/Dialogue
| L__○オブジェクト指向言語によるもの
| インヘリタンスを使用し、デフォルトの動作を上のレベルで
| 記述しておく。
| 直接操作のインタフェースを作りやすい。
| <例> MacApp, GWUIMS, Higgins
| <欠点>
| ノンプログラマにはプログラミングが難しい
L__○表示ベースのもの
| 画面上に部品を配置してインタフェースを指定する。
| 素人でもインタフェースを作ることができる。
| <欠点>
| UIDSそのものが複雑で作りにくい
| 制限されたインタフェースを持つものしか作れない
| ヘルプ、アボート、プロンプトなどはアプリケーションが
| 用意しなければならない
| <例> Cardell's Dialog Editor, Menulay, Trillium, Hypercard,
| Grins, Peridot
L__○自動生成を行なうもの
アプリケーション上の意味記述から直接インタフェースを作ろうと
いうもの。
<例> Control-Panel Interface, Mike, IDL
●ユーザインタフェースツールの欠点
○使うのが難しい(新しい言語を覚えるのはいやだという人が多い)
○インタフェースの指定がやっかいな原始的言語が多い
○サポートする機能が貧弱
○移植性が無い、または良くない
○評価機能が無い
○それ自身作成が困難
○設計者は制御をツールにまかせるのをいやがる(!)
○ツールを使うと遅くなる
○インタフェースとアプリケーションを分離するのは難しい
- 感想
- 自分の作ったやつ(Peridot)をやたらとほめている以外は
良いサーベイだと思う。
最近はXtoolkitやInterViewsなどツールキットの方が
有力なので困ったものである。
- カテゴリ
- UI
Category: UI
Journal: IEEE Software
Number: 1
Bibtype: article
Author: Brad A. Myers
Pages: 15-23
Title: User-Interface Tools: Introduction and Survey
Comment1: ユーザインタフェース用各種ツールのサーベイ.....
●ユーザインタフェースツールの利点
○良いインタフェースを作りやすい
・ラピッドプロトライピング可能なので良いインタフェースが設計できる
・変更をやりやすい
・ひとつのアプリケーションで複数のインタフェースを持てる
・インタフェースを何度も使えるので力を入れて開発できる
・異なるアプリケーションで共通なインタフェースを作れる
・新しいインタフェースを開発しやすい
・インタフェースの専門家を養成しやすい
○保守しやすい
・インタフェースコードは分離して構造化されているので保守しやすい
・コードの共有が容易である
・高レベルの記述によりインタフェースが作られるので信頼性が高い
・インタフェースの表現、検証、評価が容易である
・装置依存の部分が分離されているので移植しやすい
●ツールの分類
○ユーザインタフェースツール
L_____○ToolKit
| ライブラリとしてアプリケーションに付属させるもの
| 完全にアプリケーションと同時に開発する。
| dialog(操作のシーケンス)などはサポートしない。
| 手続きの集合であり、最近はオブジェクト指向言語が使われる
| ことが多い。
| <欠点>
| インタフェースが用意されているものに制限される
| 関数が山のようにあるのでどれを使うのかわからない
L_____○UIDS(User Interface Design System)
| UIMSと従来呼んでいたもので、アプリケーションとなるべく独立に
| dialogを記述する。
| 以下のような様々の処理をサポートする。
| ・ユーザ入力処理
| ・エラー処理
| ・UNDO処理
| ・入力のフィードバック処理
| ・ヘルプやプロンプト処理
| ・表示更新処理
| ・ユーザによるデータ変更のアプリケーションへの通知
| ・アプリケーションと表示処理の分離
| ・インタフェースの評価
| ・インタフェースのカスタマイズ
| UIDSには例えば以下のものが含まれる。
| ・ツールキット
| ・dialog制御
| ・インタフェースとアプリケーションの橋渡しをする枠組み
| ・表示配置制御
| ・評価機構
|
L__○言語ベースのもの
| L__○メニューネットワークによるもの
| | <例> Tiger, Hypercard
| L__○状態遷移ネットワークによるもの
| | <例> Jacob's State-Diagram Interpreter, Rapid/USE
| | <欠点>
| | 大域変数の嵐になる
| | モードが生じるためモードレスインタフェースに向かない
| | 複数入力に向かない
| | 遷移が複雑になると扱いきれない
| L__○文脈自由文法によるもの
| | パーザの記述のようにインタフェースを記述する。
| | <例> Syngraph
| L__○イベント言語によるもの
| | 入力がイベントとして直接ハンドラに渡される
| | <例> Algae, Sassafras, Squeak
| | <欠点>
| | コードが局所化されないのでバグを生じやすい
| | コードを理解することが困難
| L__○宣言型言語によるもの
| | 何がおこるかを記述する。
| | フォームで使うものが多い
| | <例> Cousin, Domain/Dialogue
| L__○オブジェクト指向言語によるもの
| インヘリタンスを使用し、デフォルトの動作を上のレベルで
| 記述しておく。
| 直接操作のインタフェースを作りやすい。
| <例> MacApp, GWUIMS, Higgins
| <欠点>
| ノンプログラマにはプログラミングが難しい
L__○表示ベースのもの
| 画面上に部品を配置してインタフェースを指定する。
| 素人でもインタフェースを作ることができる。
| <欠点>
| UIDSそのものが複雑で作りにくい
| 制限されたインタフェースを持つものしか作れない
| ヘルプ、アボート、プロンプトなどはアプリケーションが
| 用意しなければならない
| <例> Cardell's Dialog Editor, Menulay, Trillium, Hypercard,
| Grins, Peridot
L__○自動生成を行なうもの
アプリケーション上の意味記述から直接インタフェースを作ろうと
いうもの。
<例> Control-Panel Interface, Mike, IDL
●ユーザインタフェースツールの欠点
○使うのが難しい(新しい言語を覚えるのはいやだという人が多い)
○インタフェースの指定がやっかいな原始的言語が多い
○サポートする機能が貧弱
○移植性が無い、または良くない
○評価機能が無い
○それ自身作成が困難
○設計者は制御をツールにまかせるのをいやがる(!)
○ツールを使うと遅くなる
○インタフェースとアプリケーションを分離するのは難しい
Year: January 1989
Volume: 6
Comment2: 自分の作ったやつ(Peridot)をやたらとほめている以外は
良いサーベイだと思う。
最近はXtoolkitやInterViewsなどツールキットの方が
有力なので困ったものである。
Keyword: user interface, UIDS, toolkit